心をすくう二番目の君

派手な顔立ちに、サイドを借り上げてパーマを流したお洒落過ぎる髪型で、作業着でも様になってしまう。
雰囲気は軽薄、良く言えば親しみやすさを湛えているのに、よく通る低い声は落ち着いている。不思議な人だ。

「この辺にお願いします。かっこよくして下さいね」
「なんですか、かっこよくって……意味不明です」

この適当さに気を許してしまうのか、つい本音を漏らすと、軽い笑い声を立てている。
話し方に心中を引き出させる力があるのかも知れないと、当初は身構えていた。

今度はデスクの脇に立て掛けてあったテキストが目に留まったらしく、取り上げて捲っている。
近頃何かと絡んで来るような気もしているが、随分慣れて来た。

「士補受けるのに今からやってんだ」
「いやもう数学が全くで……今からでも間に合うのか不安です……」

「良いねー勉強熱心で。うちに欲しいわ。置局の人になんない?」
「何おだててるんですか。駄目ですよわたしは……騙されちゃうから……」

冗談を真に受けて勘違いしてしまうのはもう疲れたと、睫毛を伏せた。

「何それ、俺が騙す奴みたいじゃん」
「ふふふ」

微かな声と共に笑いを零してしまうと、前の人の背後に接近した人影を目の端で捉えた。

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