心をすくう二番目の君
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「3年間お疲れ様でした!」
課長の音頭で一斉にグラスが合わせられ、軽快な音が辺りに響いた。
9月末で退職する契約社員の送別会が執り行われている。
「無事、次の仕事は決まりましたんでお気遣いなく」
本日の主役が明るい女性なので、あまりしんみりした雰囲気はなく、他愛もない会話が繰り広げられている。
枝豆を口に運びながら聞き役に回っていると、挙がった名前に僅かに心臓が動いた。
「そういえば入ったばかりの頃、中薗さんに多大なご迷惑をお掛けして……今でも昨日のことのように思い出すんですが……」
「あぁ……あれですか。図面紛失事件」
「それはただ事ではない響き」
「いや、結局出て来たんですけどね」
春志は3名程挟んだ座敷の右手に座っている。
先に席へ着いていた彼の近くは、やはり避けてしまったが、気になって会話を弾ませている横顔を盗み見てしまう。
今日も整った顔立ちに胸を締め付けられながら、小さく溜息を零した。