心をすくう二番目の君
「……そんなに怯えなくても、もう何もしないよ」
物静かな語り口で告げると、椅子から腰を上げた。
これから起こることを図りかねて、息を呑んだ。
「悪かったと、思ってる。小椋さんには、申し訳ないことをした」
短い間だったが、深々と頭を下げられた。
電話の呼出音が響き渡り、皆気忙しく動き回っていた。おそらくわたし達の動向は注視されていなかっただろう。
瞠目して睫毛を瞬いていると、思い掛けない台詞が飛び出した。
「……君の所のリーダーは、どうも君に特別な思い入れがあるようだ」
「……え……?」
余りに驚いて、疑問を声に滲ませてしまった。
春志が……? わたしの知らない所で、この人に接触していた……?
「まぁ、君とあいつがどういう関係であったとしても、俺はもう手を引くよ。自分の身が可愛いからな」
射場係長は眉を寄せ、最後に自虐的な微笑みを見せた。