心をすくう二番目の君
テーマパークの景観を損なう訳に行かないので、目に付く箇所には設置出来ない。
アトラクションの中の一スペースにアンテナを建てるようだった。
前を行く皆に付いて、変わったフォルムの建物へと足を踏み入れる。
測量の段取りを整えるべく、携えて来たケースを開く。
レベルを三脚に取り付けると、上部にある水泡が中央に来るようダイヤルを回しながら水平になっているか凝らし見た。
不慣れなわたしは、もたもたと苦戦していた。
やっと手筈が整い顔を上げると、動向を伺っていたのか春志と目が合ってしまった。
「……此処、来たかったんだよね。ごめんね、仕事で」
唐突にプライベートの色を出して来るから、心臓が飛び上がった。
……なんでそんな言い方するの。気持ちが、引き戻されてしまう──
抗おうと心を配って、メモリを読む彼らの働きを目に焼き付けることに集中した。
測量を全て終えると、ヨーロピアンヒルの担当者と段取りをつけていた有地さんと入れ替わるように、中薗さんが声を掛けに行った。
「通信設備は自営業者さんが入ってたんでしたよね……」
話しながら、壁の向こうへ連なって行ってしまった。
残る3名で測量機器を片付けて、建物を後にする。
調査が一段落着いたところで、気が抜けていたのかも知れない。
先程の春志の声が頭をぐるぐると回っていた。
前を進む有地さんとの距離が離れていたことに気付くのが遅かった。
中世ゴシック風の装飾が施された煉瓦造りの通路を外へ抜け、現れた道には仲間の姿はなかった。