心をすくう二番目の君
「……あれ……」
歩く速度を上げ辺りを見回すが、周辺は迷路のような庭園で、道が幾手にも分かれている。
数分間闇雲に駆け回った挙句、いよいよ自分が何処に居るのか解らなくなった。
やばい、はぐれた……?
確信を持つとケースを肩に掛けたまま、しゃがみ込んでしまった。
連絡を取ろうとポケットを探ろうとして、いつも入っているはずの携帯電話がないことを今さら認識した。
一日の成り行きを脳内で辿り直すと、バッグの中に仕舞ったまま車の中へ置いて来てしまったと思い当たる。
こんな時に限って抜けている自分を心底呪いながら、何処かに園内マップでもないだろうかと懐中電灯を翳して遠くへ目を凝らした。
未だ道は抜けておらず、まずは視界の開ける場所まで移動しなければならない。
自力で入場ゲートまで行き着ければ、きっとそこに皆が待っていてくれると一縷の望みを抱いた。
夜の遊園地は、正直言って不気味だ。
やっと辺りが見渡せる場所まで戻って来たように思えたが、今なおどのエリアに居るのかすら想像出来ず、恐怖心が増すばかりだった。
そもそも行きに通って来た道なのかさえ、皆目検討が付かない。
かつて此処でレジャーを楽しんだが、一番最近でも5年は経過していた。
ましてや電飾の一つもない深夜に既視感も沸かず、世界に一人取り残されたような孤独に苛まれて来た。
「……どこ……?」
独り言を呟き、ふらふらと力なく足を踏み出す。
測量機器は最も軽い物を持たせて貰っていたが、それでも3~4キロはある。
疲れ切って、目に留まったベンチに腰掛けた。