心をすくう二番目の君

現場の建物を出てから何分経っただろう。小一時間程だろうか。
痛む腕や足を投げ出し、虚ろに暗闇を見つめた。
安全靴の先が視界の端に映り込む。

きっと今頃、皆心配している。
早く一人前になりたくて、こんな真夜中に付いて来たのに結果、迷惑を掛けただけで何の役にも立てない。
ひとりで歩けるように、自分で自分を支えられるようになりたかった。

目が慣れて、空と建物の境目が浮かび上がって来る。
上方に広がる夜に、この都会の真ん中でも幾らかは細かな星が煌めいている。

──だけどやっぱり、ひとりきりは寂しい。
出来ることなら、誰かが一緒に、歩んで欲しい。

『そんなひとりで頑張らなくても皆、力になるし』

彼の穏やかな声が、頭の奥に響いた。
熱い目頭から、込み上げるものが溢れる。

「……春志……」

やっぱりあなたが、好きだよ。

睫毛を濡らした雫が、顎を伝って膝に落ちる。
子どものように顔を抱えて、嗚咽が零れた。

辛い時は支え合いたいし、嬉しい時は分け合いたい。
わたしの傍で、笑い掛けていて欲しい。

共に過ごすのは、あなたがいい──

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