心をすくう二番目の君
「……どういう風に整理したら良いか具体的に考えて、改善出したら?」
「えっ?」
「契約の人も改善出さないといけないんでしょ?」
「……はい、まぁ……そうです」
顔を見合わせると、柔らかく微笑んでくれた。
「慣れ切ってると案外気付かないもんだからね。そういう新鮮な目線でどんどん意見出したら良いよ」
「……はい」
週末は、今後の身の振り方を練る為に1週間を思い返し、花見の別れ際の言葉は優しさではなく、嫌味だったのではと見つめ直した。
だけど、今の会話からは好意的な気配を感じる。
わたしやっぱり、この人の醸し出す雰囲気が好きかも知れない。
……いや、“好き”って。Loveでなく。Likeの方。
「あ、射場係長」
一瞬呆けていると、中薗さんの前で最も会いたくない人の名前がその口から飛び出して、心臓まで飛び出るかと焦った。
慌ててドアへ振り返るが、誰も居ない。
人を訪ねて来たのかと周囲を見回したが、やはり姿は確認出来なかった。
その間、1分程だったろうか。
「……くっ」
隣から噛み殺すような声が漏れ聞こえた。