心をすくう二番目の君
遠慮がちに触れ合ったかと思うと、すぐに互いを求め合うように勢いを増した。
下唇を甘噛みして、彼の舌が歯列をなぞる。
本当に此処に、春志が居る。
わたしを抱き締める腕を、耳を擽る掌を、髪を梳く指先を、忘れないよう胸に刻む。
想い焦がれた数ヶ月ぶりの春志の唇を、ねだる気持ちが止められなかった。
瞼を閉じて、感触を確かめるように、きつく背中に腕を回した。
迷い込んだ暗闇の中に、僅かにきらきらと光っていた希望が、輝きを増して行くような光景が頭の中に広がる。
わたしの心を救い出してくれたのは、やっぱり他でもない春志だった。
どちらからともなく顔を遠ざけると、目に飛び込んで来た紅潮した顔が気恥ずかしく、くすくすと忍び笑いを漏らした。
そろそろ戻らなければと気が急いて来ると、春志の手がわたしの肩から荷物を奪い去って行く。
すると何か目に留まったらしく、後方をじっと仰ぎ見ている。
視線の先へと振り向くと、喜びの鐘が荘厳として立っていた。
暫し見つめた後で、彼が口を開いた。
「……有名なんでしょ? この鐘。恋人達の聖地とかって」
「……知ってたの……?」
「知らなかったけど。気になって調べた」
きっと今、お互いに振り返っているのは、誕生日の約束だろう。
右手を春志の左手に取られる。
「また改めて、来ような」
「……うん……」
はにかんで答えると、繋がれた手を握り返した。
ネミさんとの想い出よりも、今日この場所を、春志の心に残すことが出来ていたならと願いながら──