心をすくう二番目の君
ゲートへ向かい歩を進めていると、わたし達の姿を認めたらしく、脇道から有地さんが飛び出して来た。
慌てふためいて繋いだ手を解き、身体の後ろへ隠した。
「小椋さん……っ! ごめんっ!! 俺が見てなかったばっかりに……」
「そんな、大丈夫です。無事、戻って来れましたし。こちらこそ、ご迷惑お掛けしてすみませんでした」
両手を広げ、彼の勢いを制してからお辞儀した。
姿勢を正すと有地さんが、何か言いたげにじっとこちらを見つめている。
目で訴えると、寂しそうに苦笑して口を開いた。
「鐘の音が聞こえたから、奥から戻って来たんだけど……その様子だと、収まるところに収まったって感じ?」
「……有地さん……」
何と答えて良いのか思いあぐねていると、眼前の人が背を向けて、長い腕で伸びをした。
「ちぇっ、おいしいとこ持って行きやがって。あ~あ。帰るか~」
前を行く後ろ姿に、切なく彼の思い遣りを噛み締めた。
無事、一行を乗せた社用車は事業所へ到着した。
「お疲れ~」
機械や道具を定位置へ戻すと、男性陣は早々に更衣室へ消えて行った。
「花澄は」
背後から声を掛けられ、肩が跳ねた。
ごく間近い頭上しか蛍光灯は点されておらず、周囲は仄暗い。
既にふたりきりとなった室内で、当然のように名前を呼んだ春志が、至って真面目な顔付きで告げた。
「俺と帰るよ」
「えっ?」
「着替えたら、戻って来て」
「……」