心をすくう二番目の君
頬杖を付き柔らかく微笑む顔は、今も綺麗だ。
食事を共にしたり、観光地へ出向いたりといった、普通のカップルらしいデートの際は、概ねご機嫌で助かっている。
「……ねぇ、最近ブレスレット、してなくない?」
彼女が自分の腕に巻かれた革のそれを指差し、疑問を滲ませた。
「……あー……なんか擦り切れて来ちゃったからさ。社員証に付けた。ちゃんと使ってるよ」
「……ふぅん」
5年の頃に買った互いのイニシャルが刻まれたもので、実際に随分くたびれて来ていたが、本音は揃いで腕に巻くことに抵抗が出て来たのだった。
しかし使っていないとなると、反論されるに決まっている。苦肉の策だった。
運ばれた前菜に表情を輝かせた前の女の子を、眺めた。
これだけ長く一緒にいると最早、恋人というより家族のような存在に変化して来ていた。
寧実には情が沸いているし、純粋に心配だ。
日々増幅して来ている温度差は、大した問題ではないと思い込まそうとしていた。