心をすくう二番目の君
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最初は、婚約者の居る男と関係を持つなんて、危なっかしい子だなという印象だった。
しかし、おそらく彼女の根底にある“拠り所が欲しい”と言った気持ちは解らないでもなく、そのか弱い雰囲気が次第に俺の庇護欲を掻き立てた。
「先ぱぁい……わたしってそんなに面白いですか? 騙されやすいから?」
「……いや、ごめん。あのさ、さっきは上手く言えなかったけどさー……」
「どうせ馬鹿だもん、わたしが……解ってますよーだ」
泣き出しそうな口調で唇を尖らせた顔に、心臓を掴まれた。
疑いもせず騙されてくれる彼女には新鮮な驚きがあり、そして興味をそそられた。
次にどんな反応を示すのか、試してみたい好奇心が疼く。
他の男に振り回されているこの子をどうにも放っておけず食事へ誘い出した自身に疑問を呈しつつも、じわじわと熱を帯びた場の空気を感じ取ってもいた。
──これは、まずい状況じゃないか?
危機を感じて来た頃に、射場係長の煙草の匂いが鼻を掠め、幾らか冷静さを取り戻す。
小椋さんは係長が好きで悩んでいるのであって、だから俺に付いて来たまでのことだ。
だが『別れたいのに、離れられない』と、はっきり口にしたのも事実だ。
思わず本音が零れて、同意を表してしまった。