心をすくう二番目の君
誕生日は、とりあえず会う約束だけは取り交わしていた。
「プレゼント選ぼっ!」
「えー……特に欲しい物、ないんだけどなー……」
寧実に連れられ、昼下がりのショッピングモールを歩く。
常に身に付けたり持ち歩くような品物は避けたかった。結局、七分袖の服になった。
夜は、寧実が店を予約してくれていた。
カジュアルな割烹で、佇まいは和風だがモダンで洗練された雰囲気があった。
料理も美味しく、特に真鯛の酒蒸しがシンプルながら絶品だった。
「……美味いな」
「良かった~。へへっ」
向き合った彼女の、昔のような裏を感じさせない笑顔に、目を瞬いた。
幸せそうに綻ばせた瞳に、心が動く音が聞こえた気がした。
「今日は、帰らなくて良いから……」
店を出た後、甘えた瞳で見上げながら囁かれ、俺の部屋へ帰った。
寧実とは、随分と寝る頻度も落ちて来ていた。
それこそ木蓮の見えるレストランへ訪れた日以来だったが、久しぶりに偽りなく可愛いと思えた。
髪や瞼に俺のキスを受けながら、目を細める彼女を抱き寄せた。
──今ならまだ、修復出来るのではないか。
淡い期待が脳裏を掠めた。
最近でこそ一級建築士も合格して多少融通が利くようになったが、そもそも互いに自由になる時間が少なかったこともある。