心をすくう二番目の君
*
「もう別れたらどうなの?」
連休の中日、大学時代の同級生である峯田《みねた》と久々に酒を酌み交わしている。
「……それが、峯田の感想ってわけか……」
「そうだよ」
居酒屋の店内は、俺達と同じく気の置けない仲間と再会したらしい若い団体や、常連と思しき中年の男性客らでざわついていた。
ビールグラスの中身を飲み干すと、遠慮のない不躾な物言いが飛んで来る。
「何つーかさ……変な流れの渦に飲まれてる時の、上手く行って見える瞬間ってのは、まやかし? っつーか……」
「…………」
向かいの奴の空いたグラスに瓶の中身を注ぎ足しつつ、ちらりと伺い見ると、肩を竦めて溜息を零している。
繰り出される直球に、眉間が寄って来てしまう。
「俺は、依存してるのは彼女だけじゃなく、お前もだと思うね」
「……俺が?」
核心を突くように人差し指を向けた男に、訝しく片眉を上げた。
「お互いの為にも離れた方が良いんじゃないか? 患者の家族支援みたいな機関とかあんだろ」
「……『春志が良い』って言うんだよな……」
既に何度かさり気なく提案したが、いつも一蹴されている。
立膝で寛いで壁に凭れている前の男が、右手を伸ばした。
エイヒレの干物を摘んで、マヨネーズを付けている。
「……俺が思うに、男と別れたからって潰れる女性はそう多くない」
建築事務所へ就職した峯田は、今も学生の頃と変わらない長髪にチェックのシャツ、ジーンズが定番だ。
干物をしがみながら、睫毛を伏せて続けた。