心をすくう二番目の君
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『本当のこと言って下さい』と問い詰められ、つい気持ちを告げてしまった。
いじらしく、不器用ながら懸命に日々を繋いでいる花澄に、いつしか惹かれる気持ちを抑えられなくなった。
現状は花澄に逃げているのだという事実を、自覚していなかったわけはない。
心の端で感付きながらも、見て見ぬ振りをしていた。
中華食堂を後にして、通い慣れた地下鉄の入口で彼女と別れた。
また花澄とキスしてしまった……。
強烈な罪の意識が頭をもたげて来た頃、寧実から着信が入った。
『お疲れさま。……まだ外なの?』
「……大学の連中がさ。皆で集まってるから来ないかって誘われて」
流石にそう頻繁に会社の人と飲みに行くと言うのも苦しくなって来た。
嘘を吐かざるを得ないと、頭の中で言い訳を並べる。
『……会社の近くで?』
「……え? ……何で解ったの?」
地下を改札に向かって歩きながら、疑問が浮かぶ。
『……あ……今、アナウンスが聞こえたから、地下鉄かなって……』
この僅かな合間に、アナウンスなんて流れていただろうか。
過らせた瞬間、数十メートル遠くから機械的な音声が微かに耳を掠めた。
電話の向こうへ届いたとは思えずに、首を捻る。
「……じゃあ、もう電車乗るから」
ひとまず当たり障りない対応で通話を切ったが、寧実の態度には明らかな違和感があった。
──考えてみれば最近、どうも絶妙なタイミングで連絡が入るような気がする。