心をすくう二番目の君
一日予定もなく暇はあったものの、充分に考えを突き詰められたかどうかは定かではなかった。
しかし、花澄に別れを告げられようが告げられまいが、俺の彼女に対する決心は揺らいではいなかった。
スマートフォンを耳に充て、こちらから掛けることは滅多になくなった相手を呼び出す。
8回目のコールでやっと繋がった。
『…………はい』
「……寧実。話したいことがあるんだ」
『…………私は……聞きたくない……』
「頼む。今、家か? 出て来るのが億劫なら、家まで行く」
至って冷静に言葉にしたつもりだったが、消え入るような声が突然荒ぶった。
『やだっ! 来なくて良いっ!!』
言い捨てて通話を切られた。
寸分躊躇ったが、すぐさま部屋を飛び出てバイクに跨った。
寧実の実家までは、飛ばせば15分も掛からない。
門の前へ到着し、2階にある彼女の部屋を見上げる。
窓の向こうに灯りは点っていなかったが、ひとあたりインターホンを押す。
暫し間を置いてから扉が開いたかと思うと、顔を出した人物は寧実ではなく、おばさんだった。