心をすくう二番目の君
将来を尋ねられて、遠い記憶を呼び覚ました。
そもそもが人生エラーだらけだ。ストレスに弱く、すぐに挫折する。
建築関係の仕事に就きたくて大学へ進んだけれど、まっとうに卒業出来なかった。
下げていた目線を上げ、前の人へと注ぐ。
誠実さを湛えた表情に思えた。
「もっと専門的な仕事をしたいって想いはあるんですけど……正社員となると、色々としがらみも付いて来るのかなとか。折れちゃわないかなって」
胸元に右手を添えて、力なく微笑みを作る。
この人はきっと、大学を卒業して一級建築士まで取ったプロだ。それだけでも尊敬する。
道閉ざされても尚、関わっていたくて、正職に就かずとも続けられるCADオペレーターを選んだのだ。
今後もオペレーターとして働いて行きたいなら、派遣社員でも幾らでも仕事はある。ひとつの職場に長く腰を据えることに重点を置かないのなら。
女だから、いつかは結婚して子どもだって儲けたい。正職でなくたって生きて行ける道程はいくつもあるだろう。
満たされてはいないが、諦めたわけでもない。
だけど、これからどうやって生きて行きたいのか、自分でも判断が付かない。