心をすくう二番目の君
*
デスクに忍ばせた、簡略なラッピングがなされた包みを取り出すタイミングを伺っていた。
「小椋さ~ん。行ける?」
「あっ、はい」
昼休憩を告げるチャイムが鳴るなり、数メートル先から呼び掛けた三澤さんが、外を指し示すジェスチャーをした。
ひとまず引き出しを押し戻して、立ち上がる。
金曜日ということもあり、異動になって初めて外へランチに出た。
「どう、慣れた? って言っても、仕事内容は変わらないんだろうけど」
「そうですね、皆さん優しいですし、良いチームですよね」
4月も終わりに近付き、翌日に迫った大型連休を前に、社内も街中も浮き立った空気だ。
太陽が真上へ昇るこの時刻、日傘が欲しいくらいに陽の光が降り注いで爽やかな青空が広がっている。
コンクリートを踏み締めながらぎこちなくも笑みを零すと、前方を見据えたままで三澤さんが続けた。
「良いチームか……私も小椋さんと一緒に良いチーム作って行きたいんだけどね」
「……」
何処となく意味深な言葉選びだと感じている間に、会社から程近いイタリアンレストランへと到着した。
入口の段差を上がった瞬間、見知った顔が視界の端を掠めた気がして、信号の向こう側の人影に目を凝らした。
いつも隣で見て来たその顔は、わたしの知らない女性へ屈託なく目尻を下げていた。
「…………」
暫し動けずに固まっていると、三澤さんが不思議そうに振り返る。
「小椋さん? テーブル空いてるって」
「あっ……すみません」
焦って小走りで店内へ進み、椅子に腰を下ろしつつも、わたしの脳内は先程の映像が焼き付いてなかなか離れてはくれなかった。