心をすくう二番目の君

休憩も残すところ数分となった頃、自席へ戻った。
脳裏にちらつく残像を追い払い、折角用意して来たのだからと、引き出しの中からそれを掴むと中薗さんの席へと向かった。
気配を察知し、見上げて来た人へ差し出すと、目を見張っている。

「お誕生日だって、仰っていたので。おめでとうございます」

透明なフィルムにくるまれた、ちょっとした焼き菓子の詰め合わせだ。
先日も甘いお菓子を食べていたので、これなら多分好きだろうと選んだ。

「……そんな機嫌取らなくても、誰にも言わないって」
「……違……っ。……そういう気持ちがないと言ったら……嘘かも知れませんが。いつもお世話に、なっているので」

このタイミングで射場係長を引き合いに出され、またもや顔を熱くした。
いつかのように耳の先が染まってしまったのかも知れない。中薗さんがバツが悪そうに唇を尖らせた。

「……ズルいよね、すぐ赤くなるんだもんな。そういうとこ」

そう言った彼の頬も、微かに赤らんで見えた。
意味ありげな言葉に、心音がボリュームを上げる。
落ち込んでいたというのに、こんな態度ひとつでしっかり胸は締め付けられていて、現金なものだと思う。

「じゃあ、ありがたく頂きます」

リボンでパッケージされたプレゼントを受け取ると軽く持ち上げ、上目遣いして見せる。
一瞬見せた屈託ない目配せに、胸の鼓動は速まるばかりだった。
何でもない振りで微笑みを返すのに苦心した。

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