心をすくう二番目の君
「えっ、何それ他に好きな人出来た!? そっちが主な理由かい!?」
「あぁ……そうかも」
へらっと笑って見せて下駄を脱ぎ、玄関から上がり込む。
番台へ外湯めぐりのパスを提示して脱衣所へ向かった。
「その人に乗り換えちゃいなよ」
「……いや……彼女居る人なんだよね……」
帯を外しながら苦笑いしていると、一蹴されてしまった。
「あー、それは駄目だー」
露天風呂の湯船に浸かり、木の葉の隙間に広がる空を見上げた。明るい時間帯の温泉は新鮮だ。
左手の女子がすっと距離を詰めて来たかと思うと、耳打ちをする。
纏めた髪の先から雫が滴った。
「……もうそろそろ年齢的に結婚考えたいじゃん。ふらふらするような人は止めた方が良いよ。浮気する奴は病気だから、治んないよね」
全く以て正論を並べられ、ぐうの音も出なかった。