心をすくう二番目の君
長い休日も終わりを迎え、久々の出社となった。
9日も経ってしまったとあっては、あの日の出来事など遠い昔かのように思えて来る。
顔を合わせるのは喜び半分、戸惑い半分といった心境だ。
誕生日をどう過ごしたのかとか、先日の飲みをどう思っているのかとか、悩ましい事項は多いが、気まずい要素は横に置いておきたかった。
「おはようございます」
「おはよ」
暫くぶりに面と向かった中薗さんは、特にこれまでと変わりなく見えた。
今日も整った涼しい顔で、長い脚を組んでいる。
「……」
しかし、目を合わせていたかと思うと決まり悪そうに逸らした。
これは、しっかり覚えられている。
「……あの……休み前は……色々とご迷惑お掛けして、すみませんでした」
腿の前に両手を揃えて、小腰を折った。
再び向き直ると、何やら目を泳がせ頬を掻いている。
はにかんだような面持ちが可愛らしいと思ってしまった。
「いや……こちらこそ」
業務が開始されても先程の残像がちらつき、集中を保つのは容易ではなかった。
もしかして……中薗さんも意識してる?
カチカチとマウスをクリックして、伸ばした線を切りながら眉間を寄せた。
待てよ……わたしの醜態を思い出しただけかも知れない……。
更に眉根に皺を深く刻ませながら、朧げな記憶を呼び起こす。
愚痴ったり……挙句泣いたり……紛うことなき絡み酒……。
青ざめるばかりで、高揚した気分は一瞬で吹き飛んだ。