心をすくう二番目の君
顔を上げた瞳からも、口調からも、今までにない気遣いを感じ取り、睫毛をゆっくり瞬いた。
「正直……式の準備でピリピリしててさ。花澄に甘え過ぎたよな。反省する」
この人から『反省』という言葉が出るとは、思ってもみなかった。
そして婚約者にまつわる不満が漏らされたのも初めてのことだった。
「だからさ……嫌いにならないでよ」
「…………」
真っ直ぐにわたしを見つめる瞳は熱を宿して見え、ドクドクと心音が身体に響き始めてしまう。
決意を固めて来たはずなのに、揺らぐ心を感じ取り冷や汗をかいた。
「あの……わたしは、怒ってるというよりは……」
幾ばくか逡巡して、言葉を探した。
流されては行けないと、抵抗を試みる。
「……悲しかったです。……それは、今に始まったことではありません……」
じっと耳を澄ましていた雄々しげな整った面立ちが曇る。
やがて真顔に変化し、視線を落とした。
物悲しい顔つきに引き摺られそうになる。
抗うべく心を割いて、絞り出そうとした。
「……だから、もう……」
「……好きな奴でも出来た?」
遮るように、彼のバリトンボイスが何故か耳に残る。
「…………」
「そいつと付き合うってこと?」
眼差しはテーブルへ俯けられたまま、向かいの人は落ち着いた語り口だった。
しかし、その面構えには明らかに不安の色が見て取れる。