心をすくう二番目の君

それでも日々は過ぎ行き、働いて生活せねばならない。
連休明けの気忙しさも落ち着き始めた週の終わり、ふとマウスを操作する手を止め、窓の外へ目をやった。
今しがた陽の光が差し込んでいたとは思えない程に暗雲が垂れ込めて、突如礫を打つような雨が降り始めた。
暫し間を置いてから、夕立に見舞われたらしい設計士が帰社して来た。

「やられた。降るなんて言ってたっけ?」
「おかえりなさい。大丈夫ですか?」

中薗さんも湿った作業着をはたきながら、ぼやいていた。髪も少し乱れている。
しかし一旦廊下へ出て着替えて来た後は、落ち着き払ってディスプレイへ向かっていたのでそこまで気に留めなかった。
鬱陶しそうに前髪を避けている彼が不意に視線を滑らせ、目が合わさってしまった。
何となしに逸らしてしまう。

『別れたいのに、離れられないから、困ってる……んです……!』

涙ながらに訴えておきながら、結局別れられないままでいる。
有言実行出来ない現実から薄らと罪悪感が付き纏い、避け気味だった。
あからさまに逃げたりはしない。仕事がやり辛くない程度に、当たり障りない対応をしている。

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