心をすくう二番目の君
避けていても当然興味はある。ちらりと横目で見遣った。
変わらず目を瞑ったままで額に左手を乗せている。
「んー……一人旅」
「ひとりで……? 彼女とじゃなく……?」
「……彼女とは……連休の頭、過ごしたけど」
黙って聞き入っていると、唐突に中薗さんの本音が吐露されて、瞠目した。
「……これだけ休みが続くとさ……寧実が中日は仕事で、ホッとしてる自分が居たりして……。その間は連絡来ないなって」
よく聞くと声が掠れている。
これまで会話の中で彼女の名前を口にしたことはなかった。
ドクドクと胸が脈打っている。ソファにもたせ掛けていた上半身を起こして、じっと彼を見た。
「やっべ俺、何言ってんだ? ごめん、忘れて……」
背もたれに頭を預けたまま、目を開いた。そのままこちらへ向けられた顔は、何処か苦しそうに見えた。
忘れられるわけはない。
彼女が束縛するタイプなのだろうか。
わたしにもチャンスがあるかもしれないなどと、小賢しい考えが脳裏を掠める。
出来れば直面したくない狡い感情が、心を占拠する。
中薗さんが大きな欠伸を噛み殺してから、もう一度溜息を漏らした。
あまり見ない仕草だと思う。違和感から、再度彼を観察した。
感付いて、手首を取った。