心をすくう二番目の君

意表を突いて左肩に重みがのし掛かり、目を丸くした。
視界の端を掠めた毛先から、ふわりとシャンプーが香った。
早鐘を打っていた心臓は、爆音とでも言うべきボリュームに跳ね上がる。
その上、手首は捕えられたままだ。

「……ぁの……」
「……ちょっとだけ。こうさせててよ……」

消え入るような声を絞り出したものの、あまり意味を成さなかったらしい。
中薗さんがわたしの肩に頭を預けている。
真っ赤に染まってしまった耳が、見なくても解った。
病人相手に何を考えているんだと自制を図るが、ささやかな理性などものともせず、感情は溢れ出してしまいそうだった。

好き。
あなたが、好きです。
そんなにくっつかれたら、わたし……。

泣きたくなって、下瞼を歪めた。
自分の息遣いが、熱を持って身体に響く。
全身から立ち昇りそうな恋の気配を、肌で感じ取る。

ぐううぅ……。

唐突に下方から鳴った間抜けな音に、高まる想いを遮られた。
咄嗟に見合わせた顔を、恥ずかしさの余り威勢良く逸らす。
腹の虫のタイミングが悪過ぎる。

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