心をすくう二番目の君
しかし先程のあり様を振り返ると一抹の不安が過る。
「中薗さん、一人暮らしですよね?」
「うん」
「……大丈夫です?」
「これくらいの風邪、何とでもして来たよいつも」
口元へ手を添えつつ疑いの眼差しで見上げると、心外とばかりに冷ややかな流し目が返って来た。
「ご家族は……」
「実家、結構な遠さだからね」
淡々と答える伏し目を眺めていたら、怖いもの見たさのような感覚が沸いて、声に乗せる。
「いざとなったら……呼べる人、いますもんね」
「…………そうだな。彼女呼ぶわ」
軽く手を振ると、地下へと潜って行った。
確かめておかないと、勘違いしてしまいそうだということもあった。
けしかけておいて傷付くなんて、身勝手な心を思いながら、後ろ姿を見送った。