心をすくう二番目の君
「……駄目ですよ。今の内に帰って下さい。病み上がりなんだし……」
「俺は別に、飯食って寝れたらそれで。一応、リーダーとしては、ちゃんと帰ったか見届けないと?」
リーダーにそんな責任ないと思うが……。
頭の中に浮かべていると、どういうわけか更に食い下がって来る。
「こんな時にひとり置いて帰って、何かあったら困る」
冗談でなく、本気で言っているような口ぶりだった。
意味深な台詞に心音が響き始める。
どぎまぎして足元へ顔を俯けると、傘から滴る雫が床に染み始めていた。
「別に………万が一何かあったとしても中薗先輩のせいじゃ」
顔を上げ、茶化すような笑顔を向けると、前の人の眼差しは真剣味を増した。
「……何かあったら俺、心底自分責めるよ?」
鳴り止むどころか益々音量を上げた胸が熱く、苦しかった。
頬を染め眉を歪めた顔は、気持ちが漏れ出てしまっていただろう。
放たれた言葉に、追い討ちを掛けられた。
「だから、大人しく俺と居て」