心をすくう二番目の君

何それ。何それ。

告白みたいな言葉だと感じたのは、わたしの自惚れなのだろうか?
紅潮した頬に、堪らず右手を充てがう。
手首を掴んだまま地下へと降りて行く後ろ姿を眺め、唇を結ぶ。

ズルい。好きな子にしか言っちゃ駄目なやつじゃない、それ。

階段を降り切って歩を進めて行くと、ちらほらと人が増えて来た。
地下鉄は動いているので然して人が溢れているようなことはなく、しかし通常よりはやや多いように見受けられた。
見渡す限りでは社内の人間は確認出来ず、多少後ろ暗さから解放される。

「売店しかないなー……」

辺りを眺め回しながら、ようやく繋がれたままだった腕が放された。
冷えた指先の感触が残る手首を、右手で包む。

離れて行った人を目で追うと、改札前の小さなコンビニで店員に話し掛けていた。
小ぶりのボトルをふたつ持って戻って来る。

「はい」

温かいココアを手渡してくれた。
先日飲んでいたことを覚えてくれていたのだと思うと、またしても心臓が高鳴ってしまう。

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