心をすくう二番目の君
「………………好き……なんだけど……」
空耳かと目を白黒させた。
前の人を見つめたまま硬直してしまう。
ばつが悪そうに横を向く彼の頬が、僅かに染まっているように見えて、気が動転した。
「………それも、嘘ですか?」
「さすがにこんなこと嘘で言う程、性悪じゃないよ……」
改めて尋ねると、眉を下げて困ったように薄く笑った。
その顔にまたしても心臓を掴まれるが、はたと我に返って事の異質さを把握すると開いた口が塞がらなかった。
「……いやいや、嘘じゃなかったらもっと言っちゃ駄目なやつじゃ!?」
舞い上がりそうな胸を制して食って掛かってしまうと、やはり口元を押さえて目線を落としている。
「……駄目だよねー、駄目な奴なんだよねー……正直、自分が思ってたよりもクズっぽくて、ちょっと落ち込んでる……」
頭を痛めたように片手で押さえて、瞼を閉じている。
何てことを言うんだと呆気に取られていると、切なげな瞳が開いた。
迷いなく向かって来る眼差しにたじろぐ。
「……小椋さんは。聞かせてよ、気持ち」
「……」
こちらへ向き直ったかと思うと、骨張った指先が伸びて来た。
後退るもお構いなしに、人差し指が目尻を拭う。
真っ赤に逆上せあがった顔を自覚して、言葉を失った。
「俺に言わせといて。ズルいな」