心をすくう二番目の君

謝罪を口に出されて、頭が幾らか冷えた。
隣の人が屈んだかと思うと、落とした缶容器を拾い上げて床に置く。
暫しそれぞれ壁にもたれて、言葉を発さなかった。

まだドキドキと鳴り止まない胸元を押さえて、視線を落とすと小さく吐息が零れた。
その溜息は、甘く、切ない色を帯びている。
手の中のボトルを握り締めた。

おそらく、強引にキスしたことに対する『ごめん』だと推測していた。
では、わたしとの関係をどうするつもりで居るのだろうと、妙にクリアに脳内が回転する。

彼へ顔を向けると、急に苦しくなって眉を寄せた。
絞り出すように、実情を伝える。

「……わたしは、射場係長と終わっていません」

中薗さんは僅かに顔色を曇らせたが、受け止めたように見えた。

「……うん。それは、お互い様じゃない?」

彼の左手が伸びて来て、わたしの右手を取った。
エスコートするみたいに連れて行かれる掌を目で追っていると、握り直した。
ひたむきな面差しで、切り出される。

「俺の事情を聞いてくれないかな」

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