心をすくう二番目の君

浮かれている間に6月を迎えた。
配属されてから丸2ヶ月が過ぎ、チームメンバーとも幾分親しくなれたように思う。

「三澤さーん。今朝の周知事項について回覧です」
「ありがとう」

隣の席へキャスター付きの椅子を滑らせて移動する。
彼女は回覧板を受け取りながら、思い出したように要望を投げた。

「あ、小椋さん。私、明日明後日休みなんだけど、多分協力会社から図面上がって来るからチェックお願い出来る?」
「解りました。締切ギリギリのやつで……」

最近休みが目立つと感じながらも、それについて触れることなく了承しようとした。
受け答えしている最中に、デスクに置かれた卓上カレンダーに目が留まった。
出勤日の方が少ない程に、『休』の文字で埋められていた。

「……」

視線の行方に気付いた三澤さんが、口元に掌を添えて困ったように耳打ちして来た。

< 89 / 209 >

この作品をシェア

pagetop