心をすくう二番目の君
「あー……気付いちゃった?」
「三澤さん……もしかして」
「うん、私今月で最後なんだー。あんまり大々的に知らされないと思うから、一応まだ黙っててね」
言葉が見つからず放心していると、周囲に漏れないよう椅子の上で身を屈める。
打ち明けられた実情を、わたしも背中を曲げて聞き入った。
「実は私、ひとりで子ども育ててるんだけどね。此処は働きやすいし、休みも取りやすくて、私としては続けたかったんだけどねー」
「……寂しくなります。三澤さんのこと頼りにしてたのに……残念です」
やっとのことで口に出すと、笑って肩を叩かれた。
「やだなー、まだ1ヶ月あるって。小椋さんは頑張ってよ。契約社員は30歳までしか取ってないって話だし……正社員目指せるんじゃない?」