心をすくう二番目の君

三澤さんの退職を聞かされたすぐ翌日に、課長に呼ばれた。

「無期雇用転換の面談……ですか」
「はい。同時に正社員登用に向けた改善レポート発表会を行います」

小会議室にて、通知の内容を記した資料を提示された。
9月末にて3年間の契約終了に先立ち、7月に執り行われるらしい。
契約継続を希望する者のうち、正社員への昇進に意欲のある者は面談に加えてレポート発表を行い、その他は面談のみを執り行うといった内容だった。

「正直なところ、契約社員の方は長期的な人材育成を目的に雇われている意味合いが強いので、正社員登用を受けた方が会社に残れる可能性としては高いんだよ。
ただ社員になると言うからにはオペレーターとしての働きだけでなく、設計士を目指すとか、測量士補の資格を取るとか……今後何をして行くかのアピールが必要になって来る」


重い足取りで自席へ戻り、椅子に深く腰掛ける。
よく解らないが落ち込んでしまい、暫しぼんやりとメールをチェックする振りをしていた。

いつまでも呆けているわけにも行かない。
今日は三澤さんに託された作業も残っている。

協力会社から戻って来た図面の色や枠がルール通りに施されているか、点検する。
目を走らせながらも、やはり無期雇用転換の件が頭の隅に居座っている。

「小椋さん」

集中して来たところに声を掛けられ、我に返った。
何やら中薗さんがこちらへ近付いて来る。

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