心をすくう二番目の君
接近した彼の胸元を、そっと押し退けた。
「……駄目……」
呟いて恐る恐る顔を上げると、こちらを見つめたまま動かない。
考え込むように目線を下げている。
「……駄目かな……」
わたしの台詞を繰り返すように声に乗せると、片手で頭を抱えて、躊躇うような素振りを見せた。
しかし指の隙間から瞳を覗かせたかと思うと、苦しそうに絞り出した。
「……好きな子とふたりっきりでさ……触りたいって思ったら、駄目……?」
切なげな顔が紅潮していて、胸が熱く震えた。
葛藤した末の、本音のように聞こえた。
鼓動が身体に響いて、息を呑むと筋張った右手が、そろりと伸びて来た。
後頭部に触れたかと思うと、髪ごと首に手を添え、引き寄せる。
見つめ合う格好になる。
並べ連ねた正論は、意味を成さなかった。
接近した彼の端正な目元に、手指の関節に、襟元に覗く鎖骨に、どうしようもなく男を感じてしまった。
胸元が熱く疼き出す。
この人が欲しくて、近付いて来た顔を避ける理由は忘れ去られてしまった。