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14.夏休み
人と人との関係は壊してみなくちゃわからない時がある。そんな気がしていた。

壊さなくてもわかるものもあるし、壊しても全然わからないものもあるんだと身をもって知った。

壊さなきゃ前に進めない関係はどちらかがすでにその関係を壊しているんだ、そう、そうなんだ。

ジンジンとするぐらい暑い夏の日。

暇さえあれば同じ事を繰り返し考えていた。

夏休み前に渡された『進路希望』と書かれたプリント。提出しないまま、夏休みに入った。

近くの進学校では1年の時からすでにこれがあったり、うちの高校は遅いくらいだろうけど、何もない私には早いくらいだった。

考えるのも嫌になって夏休みに入ってすぐアルバイトをはじめた。

仕事というほど大したことをしているわけではないけれど、働いている間はいろんな事を忘れられるから。

アルバイトが終わるのは毎回こんな暑い時間。飲食店のアルバイトはお昼のピークを過ぎれば用がないらしく帰されるのだ。それでも少しの疲労と達成感はこの日差しと真逆で清々しかった。

駅へ向かう途中、どうにも暑くて駅近くのコンビニへ立ち寄ろうと決意し、そのコンビニだけを目標に黙々と歩いた。




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