外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
なのに、離すまいというように、奏介の手に力がこもる。
息苦しさのあまり、私は涙目になりながら必死に足を動かした。


「か、帰ってきて私が留守だったから? 言ってくれなきゃ、わからない!」


奏介の態度に焦れた私は、門を過ぎて周防家の敷地の外に出ると同時に、声を張った。
奏介は車で来ていたようで、門からすぐの路上に彼の愛車が停まっていた。
車体を目にして、ようやく私の手を離し、リモートキーでロックを解除している。


「この時間、兄貴と稽古することは、ちゃんと君から聞いてる。だからこうして迎えに来ているが」

「だったら、どうして」


私は奏介の言葉に戸惑い、必死に呼吸を整えながら首を傾げた。
両手をスラックスのポケットに突っ込み、わずかに肩を竦めて運転席に回る奏介を追って、私も助手席の方から車に乗り込む。
ドアを閉めた途端、奏介が手元のボタンを操作してロックした。
車を発進させる前に説明してほしくて、私はすぐに運転席の方に向き直る。


「そう……」


呼びかけようとした瞬間、彼の手が私の後頭部に回された。
『え?』と思う間もなく、強く引き寄せられる。
運転席の方に身を乗り出していた私は、身体が傾くのを堪え切れず、奏介の唇にぶつかるようにキスをしていた。
< 100 / 226 >

この作品をシェア

pagetop