外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
「き、聞こえてたの!?」

「ああ。しっかりと」


奏介は不快げに眉をひそめ、より一層目力を込めた。


「意識して冷静を努めないと、まともな理性が吹っ飛びそうだったから、兄貴への断罪は、まず君の説明を聞いてから、と思った。七瀬、兄貴になにをされた!?」


早口で捲し立てられ、私はギョッと目を剥いた。
けれど、すぐに気付く。
どうしてだか、奏介がものすごい勘違いをしていることに。


「ち、違う! 奏介、誤解なの、私は藤悟さんになにかされたりしてないから!」


私がここで呆けていたら、藤悟さんにとんでもない迷惑をかけてしまう。
私は必死に首を横に振り、彼の言葉を否定した。
それには奏介も「え?」と訝しげに眉間の皺を深める。


「本当よ。藤悟さんはちゃんとお茶のお稽古してくれた。その……奏介が聞いたのは、ただの事故で……」


とにかく彼の誤解を解かないことには。
私は聞く耳を持ってくれた彼の両腕に手をかけ、身を乗り出して訴えかけた。


「事故?」


奏介の声に、わずかな戸惑いが滲む。
私は勢いよく首を縦にブンブンと振った。


「お茶会でも恥ずかしい思いしたけど……相変わらず、私、正座が我慢できなくて」
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