外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
「君が正座が苦手なことは、俺もよ~くわかっている。この間の茶会でも動けなくなっていたんだ。故に、ただの稽古であろうが、同じ状況に陥ることは、十分予測可能だったはず」

「はい……」


まるで法廷で弁論しているかのように、朗々と明瞭に被せてくる奏介に、私はちょっと逃げ腰で相槌を打った。


「俺があれだけ油断するなと言ったのに、君はあまりに無防備だ。罪状認否、一点目。足が痺れていたにも拘わらず急に立ち上がるなど、危険なことは考えなくてもわかるだろう」

「う……」


言い返せずに口ごもる私に、奏介はますます目力を込めて言及してくる。


「二点目。『転ぶ』という惨事は十分想像し得るものだったのに、スカートで出向いた君は、軽率極まりない。異論は?」


奏介が畳みかける私の罪状。
彼は弁護士のはずなのに、今、私は検事に追い込まれた被告人になった気分に陥る。
私は反論はおろか口を挟むこともできず、ただ虚空に視線を漂わせた。


「論告。夫である俺の忠告を軽視し、七瀬が自らの不注意で起こした『事故』。それにより、俺が受けた心的苦痛に対する賠償請求をする」

「そ、そんな、奏介っ」


無表情で淡々と追い詰めてくる奏介に、私は半泣きで彼の方に身体を向けた。


「問答無用。俺が君のことになると抑えが効かなくなるとわかっているくせに、兄貴相手に油断した七瀬が悪い」
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