外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
「見たことのない世界って……」


奏介がなにを指して言っているのか。
知りたいような、実は知っているような。
怖いような、本当は甘いとわかっているような――。


私が奏介を見つめ返す目には、期待と不安が入り混じっていて、きっと相当揺れていたと思う。
私の反応を最後までジッと見つめてから、奏介は強気に笑った。


「今夜は遠慮なく愛し尽くしてやる。心しておけ」


なんともふてぶてしく言い捨て、答えはくれずに再び前を向いてしまう。
なにか言い返そうにも、私の口はパクパク動くだけで、まともに言葉を発することができない。
それでも彼の宣告は、私の胸を限界を超えるまで高鳴らせる、十分な破壊力を持っていた。


「っ……」


昨日まで一人で寂しい夜を過ごしていたからこそ、彼に愛し尽くされる夜を想像するだけでドキドキと胸が弾んでしまう。


「奏介に愛し尽くされるなんて、本望だもの」


『奏介を狂わせた罪に問われた被告人』の私は、ほんのちょっと負け惜しみでボソッと呟いた。


「そんなの、全然罰にならない」


それが奏介の耳にもちゃんと届いたのは、彼がふっと口角を上げたからわかる。
彼は私に返事はしなかったけれど――。


私が予感した通り。
その夜、奏介が私に与えたのは、全然罰ではなく、ただただ甘く蕩けるほどの幸せだった。
< 107 / 226 >

この作品をシェア

pagetop