外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
「そんな言い方、却って気になる。ちゃんと言ってって言ったじゃない」


私は答えを求めて、奏介の上に乗り上げた。


「気にしないでくれ。俺の本心は、君ほど純粋で美しいものではない」

「だったらなおさら! 奏介」


横を向く彼を上から覗き込む。
ほんの少し詰るつもりで目に力を込めると、奏介は私を視界の端っこで捉えたまま、黙って眉を寄せた。


「ズルいよ、奏介。いつも私が照れるくらい、ちゃんと想いを口にしてくれるのに。それ以外のことは、嘘偽りなくても、私には言えないってこと?」

「それは」

「私には関係ない? そんな言葉で誤魔化さないで」


私がムキになってそう畳みかけると、彼は声に出して溜め息をついた。
そして、私からふっと視線を逸らす。


「……実は今日、もっと前から実家に着いていた。七瀬は兄貴から稽古つけてもらってるってわかっていたが、俺も今日は時間があったから。割り込んででも、俺が自分で君に教えたいって」

「え……」


奏介の小さな呟きは、私が想像もしていなかったもので、私は一瞬返答に窮してしまった。
けれど、すぐに疑問が湧いてきて、気を取り直して口を開く。


「だったら、どうしてお茶室に入ってこなかったの?」

「兄貴に教わると決めたのは七瀬だから。そこに俺が割って入っても邪魔になるだけだ」

「なんで、そんな言い方……」
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