外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
「兄貴。余計なこと言うな」


くっくっと声を漏らして私の方に身を乗り出す藤悟さんを、奏介は地の底を這うような低い声で、ビシッと遮った。
けれど私は藤悟さんの話の先が気になり、「え?」と腰を浮かせて聞き返してしまう。
奏介が、今度は「七瀬」と私を制した。


「余計なことは知らんでいい」

「でも、気になる」


言い返した途端にジロッと睨まれ、私も首を縮めて竦み上がった。
私たちのやり取りを見ていた藤悟さんは、口元を押さえて優雅に笑ったまま。


「いいねえ。……俺も、世界中探し回っててでも、七瀬さん以上に素晴らしい女性を見つけられたら、結婚考えようかな」


奏介の盛り過ぎな褒め言葉を拾い、ボヤくように言われて、私は恥ずかしさのあまり口ごもった。
身の置き場がなく、肩を丸めて小さく猫背になる私の隣で、奏介は『ふん』と鼻を鳴らして踏ん反り返った。


「そう簡単に見つからないだろうから、適当なところでさっさと結婚してくれ。そうすれば、家業を継いでいない二男の嫁の七瀬が、いちいち茶会に駆り出されることも少なくなるだろうから」


鷹揚に言いのける奏介に、藤悟さんも「はは」と苦笑するばかりだった。
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