外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
ううん、どちらにしても必ずここに来て、奏介を見張り続けるはず――。


「奏介」


私の思考回路が働き始め、思いついた考えに向けてベクトルを定める。
奏介の腕を取り、大きく顎を上げて彼を見つめた。


「奏介、着物を着て」

「え?」


私の一言を聞いて、彼が虚を衝かれたように見下ろしてくる。


「裁判が始まるまでに、私たちでその人を捕まえればいい。その人を連れて裁判所に戻れば、他のお客様の安全も図れる」

「ああ……? だが、どうして俺が着物を」

「周防家の人たちは、お手伝いさんもお弟子さんも、みんな今日は和装だもの。奏介がスーツ姿で探し回ってたら目立つし、なにかあったんじゃ?って不安を煽る」


そう畳みかけると、奏介も私が言いたいところを察したのか、ごくりと喉仏を上下させた。


「私は受付に戻る。庭の様子にも注意を払っておくから、奏介は屋敷内をお願い」

「七瀬」

「私はお弟子さんと一緒だから、心配しないで。奏介、絶対に気をつけて」


意識して声に力を込め、奏介の腕に手をかける。
まだ険しい彼の瞳に、大きく頷いて見せた。


「奏介、なにがなんでも、その人を捕まえよう!」


鼓舞するように一際声を張ると、奏介もきつく唇を引き結び、眉尻を上げた。
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