外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
銀杏の木の下で奏介と別れ、私は急いで受付に戻った。
先ほどはお客様が増え始めたところで、テントの前には受付待ちの列ができていたけど、ピークを超えたのか、お弟子さんが対応している人が最後のようだ。
大変な時に持ち場を離れてしまったことを、お弟子さんに謝る。


彼女は私より少し年上の人で、入門は五年前だと聞いた。
お茶会の時は受付を担当することが多いようで、手慣れた様子。
「いえいえ」と気さくに返してくれた。


恐縮しながらテントに入ると、最後のお客様も受付から離れていった。
テントの中で二人になって、お弟子さんは「ふう」と一息つく。


「午前中の藤悟さんのお茶席は、もう定員オーバーで締め切りましたからね。藤悟さん目当てのお若い女性客は、七瀬さんが外した後、早々に諦めて引き返していったんで、ドッと減ったんですよ」

「そ、そうなんですね」


素で驚く私に、彼女は『いつものことだ』とばかりに肩を竦める。


「ところで、奏介さんはどうしていらしたんですか? 珍しく慌てたご様子で。なにか不測の事態でもあって、お茶席で亭主を務められるのかと思いました」

「ああ、いえ。……時間が空いたから、ちょっとだけ様子を見にきたようで」
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