外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
私は無意識にぞくりと身震いして、そっと辺りを見渡した。
目に見える範囲にも、男性の姿はたくさん確認できる。


私が受け付けた中に、いたのだろうか?
それとも、私が奏介と外している間のこと?


私は深呼吸して気持ちを落ち着かせると、思考を巡らせた。
私も奏介も、『牧野晴彦』をパッと見てすぐに判別できるとは思えない。
でも、『怪しい』空気は、気付けるはず。


そう考えて、私は唇を結んで、再び受付簿を注視した。
受付簿には直筆で名を書いてもらっている。
ここからなにかわからないだろうか……。


オフィスでも受付票に記名してもらい、いろんな筆跡を見る機会がある。
受付のプロだと自負していても、私に筆跡鑑定なんて特技はない。
でも、筆跡には人の個性が表れる。
性格や職業を判断するにも使われたりするのだ。
私自身、筆跡を見た後で職業を知って、『ああ、納得』と思ったことが何度もある。


私は無意識にごくっと喉を鳴らした。
相手の顔は知らなくても、製品開発を担当した研究者だと知っている。
つまり、根っからの理系人間ということ。
そして、今日になってこんな形で再び奏介を『脅迫』してくるくらいだ、きっと執念深い……執着質なタイプと想像できる。
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