外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
そっと目線を上げると、すぐ目の前に奏介の端整な顔があった。
鼻先が触れそうなほどの至近距離から、どこか鋭い光を帯びた目で瞳の奥まで射貫かれる。
私の胸は、ドキドキと際限を知らずに高鳴り始めた。


「だ、だから。奏介も、約束」


顔が真っ赤に染まるのを自覚した。
それを誤魔化すように、ちょっと上擦った声で告げる。
私たちの間に漂う空気がなにか意味深で、落ち着かなかったせいもあった。


「え?」

「……無理、しないで。ちゃんと、自分の身体、気遣って」


ボソッと呟くと、奏介が「わかった」と小さな相槌を返してくる。
彼はそのまま顎を傾け、私の頬に唇を触れた。


「ん、奏介」

「ほんの少しの時間でも、帰ってくる。七瀬、君の隣で眠るために」


奏介が、私の頬にしっとりとしたキスをしたまま、囁いた。
甘く深く浸透してくる彼の声に、私の胸の鼓動が大きな音を立てて弾む。


「うん。……うん。約束」


胸を急激に加速させて返事をする私を、奏介が後ろから抱き竦めた。
腕に力を込めて、自分の方に引き寄せてくる。


彼の唇が耳を掠め、私はピクンと身体を震わせた。
背筋をせり上がってくる、ゾクゾクする痺れに肩を縮める私に。


「七瀬。今夜はたっぷり時間がある」

「っ、ん、あっ……」


奏介は言葉の途中で、私の部屋着の裾から手を差し入れていた。
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