外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
藤悟さんのご厚意で、私が抱えるお家事情による重圧に、希望の光が射し込んだ。
三度延期になった結婚初夜も、無事に越えることができた。
一夜明けて、彼の腕の中で目覚めた朝。
私より早く出勤する奏介を、『行ってらっしゃい』のキスで、玄関先で見送ることもできた。


昨夜一晩で、これまで燻っていたもの、すべてが解決した。
奏介との新婚生活が、やっとスタートした気がする。
五月晴れの空も、なんとも清々しい。
順風満帆の明るい結婚生活が広がる予感に、私は朝からずっと胸を踊らせていた。


おかげで仕事も絶好調。
もともと嫌いじゃない接客も、いつも以上にウキウキしながらこなせる。
同僚には訝しがられ、なつみには『昨夜、いいことあったんでしょ~?』と探られてしまうほど、わかりやすかったらしい。
昨日に引き続き、一緒にお昼休憩を取ったなつみに、吊るし上げられてしまった。


もちろん、奏介との初夜のあれこれは、親友とは言え語れない。
私の胸に大事にしまって惚けたけれど、昨日から一気に変貌した私の幸せオーラは、終始ダダ漏れ。
『ご馳走様』と呆れ顔のなつみと、再びオフィスに戻った。


バックオフィスに入り、ランチに出るために持っていったトートバッグをロッカーにしまおうとすると、中のスマホがブルッと振動するのに気付いた。
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