外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
目をキラキラさせているなつみに、ほんのちょっと苦笑する。


「奏介とはタイプが違うけど、綺麗な人だよ」

「ちょっと七瀬~恵まれすぎじゃない!? 旦那さんだけでも十分完璧なのに、イケメンのお兄さん付きとか!」

「ははは」


拝むように両手を組み合わせ、ほわ~んと虚空に視線を彷徨わせるなつみに、私は乾いた声で返事をした。
けれどなつみはすぐに『夢見心地ポーズ』を解いて、わずかに声を低める。


「……旦那さん、よく許したね。大丈夫?」

「え?」


聞かれたことの意味が咄嗟にわからず、私は思わず素で聞き返した。


「個人的に教わるってことは、これから頻繁に会うことになるんでしょ? いくら自分のお兄さんとはいえ、七瀬が他の男と二人きりで会うとか。本当は旦那さん、気が気じゃないんじゃない?」

「え、っと」


じっとりした意地悪な目を向けられて、私は返事に窮して言葉を濁した。
『お義兄さん』なのに考えすぎ、と思うものの、まさになつみが言った通りの理由で奏介が渋ったことが、脳裏を過ぎったからだ。


藤悟さんに油断するな、って。
昨夜、帰ってきたら藤悟さんが家にいて、奏介も驚いたから、あんなに厳しく言ったんだと思う。
もちろん、彼の言った通り『旦那様の留守中に男性を家に上げた』のは軽率だったと、私も反省してるけれど。
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