外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
「……わざわざお礼にって、初めて訪ねてきてくれたお義兄さんを、玄関先で追い返すなんて、できないじゃない」
ほんのちょっと納得いかない思いで、私はすぼめた唇の先で、ボソッと独り言を呟いた。
ほとんど口を動かさずに発した声は、なつみの耳にははっきりと届かなかったようで、「え?」と聞き返されてしまう。
私は視線を横に逃がして、首を横に振って誤魔化した。
「なんでもない。……でも、そんな心配ご無用です」
気を取り直して胸を張り、私はロッカーの扉の内側にある鏡を覗き込んだ。
「私の大事な旦那様は、奏介だけ。彼以外の人によそ見する余裕、ないもの」
そう言って、口紅を直す私の横で、なつみが「く~っ」と声を漏らし、なにやら悶えていた。
「公然と惚気んな! あ~腹立たしい!」
なつみがプリプリと怒るのを、私は肩を竦めて受け流した。
そんな私に、彼女はじっとりとした視線を向けていたけれど、「はあ」と声に出して溜め息をつく。
「まあ……。旦那さんも七瀬にベタ惚れだしね。結婚してまだ一ヵ月経ってないんだし、『世界は私たちを中心に回ってる』みたいに感じるもんか。そりゃあ、オフィスでも惚気たくなるわね~」
「っ……なつみ!?」
ほんのちょっと納得いかない思いで、私はすぼめた唇の先で、ボソッと独り言を呟いた。
ほとんど口を動かさずに発した声は、なつみの耳にははっきりと届かなかったようで、「え?」と聞き返されてしまう。
私は視線を横に逃がして、首を横に振って誤魔化した。
「なんでもない。……でも、そんな心配ご無用です」
気を取り直して胸を張り、私はロッカーの扉の内側にある鏡を覗き込んだ。
「私の大事な旦那様は、奏介だけ。彼以外の人によそ見する余裕、ないもの」
そう言って、口紅を直す私の横で、なつみが「く~っ」と声を漏らし、なにやら悶えていた。
「公然と惚気んな! あ~腹立たしい!」
なつみがプリプリと怒るのを、私は肩を竦めて受け流した。
そんな私に、彼女はじっとりとした視線を向けていたけれど、「はあ」と声に出して溜め息をつく。
「まあ……。旦那さんも七瀬にベタ惚れだしね。結婚してまだ一ヵ月経ってないんだし、『世界は私たちを中心に回ってる』みたいに感じるもんか。そりゃあ、オフィスでも惚気たくなるわね~」
「っ……なつみ!?」