外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
私にとって初のお茶のお稽古、初心者入門編その一……の今日は、終始藤悟さんに大笑いされ、情けなさと恥ずかしさの極致を迎えたところで終わった。


「それじゃ、今日はここまで」


藤悟さんが時計で時間を確認するのを視界の端で捉え、なんとも言えない安堵感が胸に染み渡った。


「ありがとうございました……」


肩にドッと降りてきた並々ならぬ疲労感に潰されながらも、畳に指を揃えて頭を下げた。
ゆっくり頭を上げ、慎重に足を崩し、恐る恐るその場に立ち上がる。
足はじんじんと痺れているけど、感覚があるのを確認して、私はゆっくり一歩踏み出した。


なのに、藤悟さんの方はまったく苦もなくスマートに腰を上げ、「どういたしまして」と、先に立って襖を開けてくれた。
どこまでも優雅でスマートだから、今はとにかく悔しいばかり。


「……どうも……ご丁寧に」


ふて腐れて頬を膨らます私を、藤悟さんは声を噛み殺して笑っている。
上機嫌な藤悟さんとは真逆に、私はもう、なんだかいろいろとぐったりだ。


予想外の意地悪から始まり、正座に慣れないがために、お稽古が終わっても最後まで忍び笑いをされる。
途中で、死ぬほど恥ずかしい思いもしたし……。


「っ」


たどだどしく歩を進めるうちに、自分の思考に引き摺られ、その『恥ずかしい思い』をするに至った『事故』を、思いっ切り脳裏に蘇らせてしまった。
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