無題 〜奇跡の7つ子〜
しばらくして、一息ついていたら、玄関から、

「ただいまぁ〜〜〜…。」

というくらい声が聞こえてきた。

「おかえり。秘鳴」


凄い疲れている。
そりゃあそうだよね。昨日も一昨日も、夜も寝ずに、愛鳴さんの看病をしてるんだもん。今日は、三日ぶりの帰宅。

「どう?なんか変わったことあった?」

遅鳴が聞いた。

「ん?変わったこと?.......あー。愛鳴兄の、手の甲に、黒いクローバーが、あったな…。」

クローバーが見えたの!?
というか、黒い?

「黒かったの?」

続けて、遅鳴が質問した。

私は、話を聞きながら、考え込む。

「黒になる前に、1回、白になったなぁ。あぁ、少し水色っぽい。でも白にすごく近くて、発光してたな、薄うくね。」

白?少し水色が入ってる?発光してる?


まてまてまて!!

それは、あの人の……ダメだ!!辻褄が合ってしまう!!

でも、ジュピターだって、言っていた!

まさか…でも、辻褄が合うから、本当なのか?

いや、でも、なんで、あの人が……


あいつか!!!!あいつだな!!







秘鳴が、言っていた。

「ねぇ、どうしたんだろ?話してるの聞こえてないみたいだし。」

遅鳴は、秘鳴に聞いた。

「“読める”?」

「ごめん。元々、あの子のことは、“読めない”んだよね。」

秘鳴が、諦めたように言っている。

まだ、アリスは、一人黙々と、頭の中で考えている。








認めるしかないのか?

あの人がいるってことを、認めるしかないのか?

大門の上にいた、あの人とも合うけど、黒と白が混じっていた!!

……堕天?

でも、まだ白をまとっていたから、戻れるに違いたいけど、




「あの、アリス??大丈夫?顔が真っ青だよ?」

遅鳴が、言った。

秘鳴が私に手を伸ばした。

「うっわぁ!熱があるじゃん!!」

熱?そんな理由.....

でも体熱い...フラフラする?

「ほら、早くベッドに運ぶよ!!」

遅鳴が、おんぶをしてくれた。

遅鳴の背中は、暖かく、ほんのりと柔軟剤のいい匂いがした。

わたしは、それが遅鳴の匂いだとわかると安心した。

そして、静かに眠った。




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