無題 〜奇跡の7つ子〜

29:♣女神様(フェアリー)♣









「ねえ、」

私は、言う


「どうしたの?女神様。」


女神様は、いつもと同じような顔をして、

「どうもしてないよ?」

私は、また尋ねる。

「どうしてこの世界に?」

いつもと同じような顔をして、女神様は、

「見てわからない?」

「…女神様……」

「女神じゃないよ?フェアリーちゃんで〜す!で?分からないの?」

「……………」

「分からないの?アホだなぁ?堕天したんだよ♪♪まだ、完璧じゃないけど。」

「……ど…う……して…」

「どうして?って、こっちの方が楽だもの。泉から出られるし(寂しくないし)と〜〜っても楽しいから!!」

「じゃあ、泉から、出て何をしたの?」

「え?なにって、まず、マッドに言われたとおり、大司教を気絶させて、マッドに言われたとおり、警察官やテレビの人を気絶させて……このくらいかな?」

「全て、マッドの指示でしょ?ねぇ、女神様、あなたの意志は…意志は、どこにあるんですか!!!??ねぇ、女神さま!!」

「女神じゃなーーい!!!!」

(!?)

女神様の大きな声を初めて聞いた。

「私は…もう…女神じゃない…もう…違う…戻れない…もう…もうもうもう…ちがうよ…」

やばい。女神様が、壊れる。

「私は…女神じゃないのよ。女神は、死んだ。私は、フェアリー。堕天使。」

壊れる前に何とかしなきゃ。

「悪魔の仲間。だから、あなたを(私を)殺す(助けて)。」

やばい。もう服の半分が……


ブゥゥン!

危ないんだってば!!


あなた達は、どんだけ、私を危ない目に遭わせたいの?

どうにかして、あれを唱えれれば。


「私の鉄終を受けなさい。」

ブァン

そんな危ないものを出さないでよ。

まだ、白いけど、女神から出た光の矢から、丸い鉄が出てきた。

水じゃないの?

え!!


ドガァン!!

間一髪で、避けてるけど、当たったら、ガチで即死だよ!!


どうするか……









あいつは、すごいなぁ。

あんな狂った、女神を相手にしてるし。

俺の事を、「エリック」とか、呼び捨てしやがって!

でも、そう呼ばれるのは、気分がいいかな。

良い奴だよ。あいつは。

あいつらといるのも、楽しかった。

俺は、あいつらの仲間じゃないから、どこに行っても自由だ。

だったら、なんで俺、わざわざ、あの時アリエルを追いかけたりしたんだろう?

追いかける必要なんか…あぁ、

そうか、そうなんだ。

俺は、あいつが好きなんだな。

アリスの他にも、もう1人、俺のことを呼び捨てで、呼ぶ奴がいる。

名は、アリエル。

天使だ。敵だ。

そんなの関係ねぇ。

だから、助けたいと、思ったのかな?

よーーし!!決めた!

俺は、あいつについてく!!

あいつがついてく場所には、俺がいることを植え付けてやる!!









「あぁぁぁ!!!熱い熱い!!体が熱い!!初めて味わったよ!!この高揚感!!寒くない!寒くない!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」


熱い?寒くない?

……てか、もう壊れかけてる!

どうしよう……


ゴガァン

だから、危ないってば!!

もう…


「スルスルスルスル透明人間」

「どこ行った!?」

テンパる、女神様。あたりをキョロキョロしているが、私は、そこにはいない。

今、私は、女神様の目の前にいるから。

どうやら本当に透明人間になったみたいだ。


「ピカピラピカピカ光のフラッシュ」

「ウワァァ!!」

私が、唱えると、私の手から、光が出た。

女神様は、もろに浴びたので、目を抑えている。

カメラのフラッシュの何十倍だろう?

一人そう思った。

女神様が動けなくなった、ここからが、本番。

私は、姿を現し、女神様の近くにいった。


「女神様。」

「…うぅぅぅ…殺してやる…殺してやる…」

そう呟いている。

「寂しかったのですか?」

「………殺じでやる…」

答えない。

正常な反応を見せるまで、私は、話し続けることにした。

「…寂しかったのですね。それは、すみませんでした。」

「…許じゃない…」

答えた!!

「すみません。」

「………」

「あの日本当は、あなたを置いていきたくなかった。だけど、あなたは、ここに戻ってきては、行けないと言った。」

「………」

「だから、私は、あなたを置いてった。」

「………」

「だけどそれは、違った。結果あなたは、寂しかった。寂しさで、マッドに騙されて、ここまで来た。ねぇ、女神様。あなたは、あの時、自分も連れて行って欲しかったのでは、ないでしょうか。」

「……違う……違う違う違う違う!!あれは、私の職務だった。あなたを守り、ここを、あの場所を守るのが私の職務だった!あれは、すべて仕事だったんだ。マッドに騙されたのは、私の落ち度。」

女神様は、立ち上がった。

「違いますよ。それは、あなたの落ち度では無い。私の落ち度です。職務だというのなら、あの時のあの目は、なんですか?悲しそうな、辛そうな、寂しそうな、真っ直ぐな目は、なんですか?」

「……」

「寂しかったんでしょう?………私は、私は、寂しかったと、言ってほしい……」

「……寂しかったですよ。……あなたがいなくなって、数日、話し相手、呑気な猫、天使を好きな悪魔。楽しいもの、好きなもの、気に入っているものが全てなくなりました…」

うっすら、泣き目になっている。

「………」

「…そのたびに私は、自分に言い聞かせたのです。これは、私の職務だ。私情なんか挟んでは、ならないってね。そうやって悲しさを職務で、隠していた結果がこれです。神父に騙され、怪我をさせて、サイテーな、女神ですね。」

ニコッと、いつものように、女神様は、笑った。

「最低なんかでは、ありません。寂しくなるのは、普通の感情です。それに、女神様は、まだ、誰も殺してない。まだ、戻れるんです。」

私は、説得を試みた。

「戻ったら、また、寂しくなる。寂しいのは、嫌。」

半泣きで言われる。子供のようだ。

「いい方法があるんです。私の僕が、教えてくれました。」

「………」

顔を伏せ、しばし沈黙をする。

「戻ってきてくれますか?」

顔を生き良いよくあげた。

「…うっうう…もちろん!ありがとう。ユピテル。」

大泣きしている。

ともかく、良かった。





私は、戻す方法を、女神様に説明した。







「行きますよ?」

女神様は、頷いた。

はっきり言って成功する確率は、五分五分。

「聖なる気,邪なる気,ふたつを分け,聖なる気よ解き放たれよ 」

これは、もう半分も聖気を喰ってる。

邪の方も、自我が、育ち始めてる。

これは、もう、あれしかないな。

「ふたつの自我を,分け,両者に生命を」


ピカァっと、女神様の体が、発光した。

そして出てきたのは、卵が2つ。

少し戸惑ったが、多分、生命を分けた、ふたつのフェアリーだと思う。

私は、そのふたつの卵を、後方にいる、エリック、アリエル、愛鳴、秘鳴、壱鳴、遅鳴のとこに持っていき、

「預かってて」

と頼んだ。

でも、驚いたのは、エリックは、いつの間にか元に戻っていたことだ。

まぁ、それは、置いといて、私は、もう一度、

マッドとウサギのとこに向かった。


「最後、ウサギを返して。」

これが、最後の勝負。










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